このページはPR・広告を含みます

インド初のチップ直結型液冷が30MW級AI拠点で稼働、冷却が計算力の上限を決める時代へ

インド初のチップ直結型液冷が30MW級AI拠点で稼働、冷却が計算力の上限を決める時代へを象徴するデータセンター液冷のイメージ

ニュースの概要

Vertivは、CapitaLand India Trustと共同で、インドのナビムンバイにあるデータセンター「CLDC Mumbai 01」に、同国で初めてとなるチップ直結型の液冷方式を導入したと発表した。対象はハイパースケール(=巨大クラウド事業者)向けの30MW規模のAI用設備で、GPUなど発熱の大きい演算装置を液体で直接冷やす。施設側の冷却設備から、チップのすぐそばまで冷媒を循環させる仕組みが中核になるという。空気で冷やす従来方式では限界に近づく高密度のAI計算を、インド国内で受け止める基盤が動き出した形だ。

引用元: Vertiv、インド初のチップ直結型液冷を30MW規模のAIデータセンターに導入(IndianWeb2)

分析・見解

空気では冷やしきれない熱を、液体がチップから直接奪う

AI向けGPUサーバーを詰め込んだラックは、1本で数十キロワットから100キロワット級の電力を使う。電力はほぼすべて熱に変わる。従来の事務系サーバーが1本5〜10キロワット程度だったことを思えば、桁が違う。空気を吹きつける方式は、おおむね1本20〜30キロワット前後で限界が見えてくる。冷却の限界が、そのまま搭載できるGPUの数の限界になる。

チップ直結型は、チップに金属の板(=コールドプレート)を密着させ、中を流れる冷媒で熱を直接運び去る。空気より水系の液体のほうが、はるかに多くの熱を運べるからだ。今回のニュースは、この方式がインドで初めて、商用の大型設備に入ったという点に意味がある。

30MWという規模が、インド市場の本気度を映す

30MWは、1本100キロワットのラックなら300本前後に相当する規模だ。実験設備ではなく、ハイパースケール顧客の本番用途を想定した量である。小さく試してから広げる段階を飛ばし、最初から大きく入れた。ここに、需要の確かさへの自信が読み取れる。

インドは人口が大きく、データを国内に置く規制や、国産AIモデルの開発熱も高い。計算資源を国内で確保したい企業は増えている。ただし電力は限られる。同じ電力枠のなかで、より多くのGPUを動かせる設備ほど価値が高い。

高温多湿の気候では、冷却の差が電気代に直結する

ムンバイは高温多湿で、空気冷却には不利な土地だ。冷凍機(チラー)を回し続ければ、冷却だけで電力を大きく消費する。液冷は比較的高めの温度の冷媒でも機能するため、冷凍機の負担を減らせる余地がある。

電力使用効率(PUE=設備全体の電力を、計算機の電力で割った値)が1.5から1.3に改善すれば、同じ受電量で動かせる計算機は約15%増える。冷却の効率化は、環境対応というより、売上を増やす手段に近い。

競争の軸は、機器の性能から運用の腕前へ移る

液冷は、導入して終わりではない。冷媒の漏えい検知、配管の保守、水質の管理、停電時の冷却維持など、空気冷却にはなかった運用課題がある。機器メーカーが現地の事業者と組んで実績を作ったのは、そのためだ。

もう一つ見落とせないのは、後付けの難しさである。空気冷却で建てた建物に液冷を足すには、配管の経路や床の耐荷重まで見直す必要がある。最初から液冷を前提に設計した設備と、改修した設備では、将来の拡張余地に差が出る。日本でも、装置の仕様より、止めずに運用できる人材と手順を持つ事業者が選ばれる局面が近づいている。

ビジネスへの影響

設備選びでは、液冷への対応が最初の足切り条件になる

AI用の計算資源を借りる企業は、料金や場所の前に、ラックあたり何キロワットまで受け入れられるかを確かめたい。空気冷却のままの設備では、最新GPUを必要な密度で置けない。台数を分散させれば、通信の遅れや費用増を招くことがある。

日本の企業が海外拠点を検討する場合も同じだ。インドを選ぶなら、液冷対応を明示する事業者が候補になる。

見積もりの段階で確かめたい三つの数字と運用体制

確認したいのは、受け入れ可能なラック電力、実績のPUE、冷却が止まったときの復旧時間の三つである。あわせて、冷媒が漏れたときにだれが何分で対応するかも、契約書に書き込んでおく。

自社で設備を持つ側は、いきなり全面改修を考えない。まず高負荷の一部ラックだけを液冷にして、電気代と故障の傾向を半年ほど測る。そのうえで増設を判断すれば、失敗のコストを抑えられる。

部材や施工の企業にとっては、海外案件に入る好機になる

液冷が広がれば、配管、継手、冷媒、漏えい検知器、保守サービスの需要が伸びる。日本の部材メーカーや施工会社には、海外の大型案件に部品や技術を供給する道がある。ただし、現地の事業者と組み、運用実績を共有できる体制がなければ採用されにくい。今回の協業はその好例といえる。

関連記事

← ブログ一覧へ戻る